PlayStationとインディーゲームとの関係の悪化は将来的に痛手となるとの記事が掲載

PlayStationとインディーゲームとの関係の悪化は将来的に痛手となるとの記事が掲載

ここのところインディーゲームの開発者たちがソニーの対応の酷さをTwitterで訴えていますが、こうしたソニーの対応は将来的にPlayStationにとって痛手になるのでは、という長文記事が海外ゲームメディアGamingBoltに掲載されましたので紹介します。


ソニーには小規模デベロッパーとの関係を悪化させ続ける余裕はありません。彼らを敵視することは、将来的にインディーゲームがプレイステーションからなくなることを意味しています。

ここ数年、ソニーが「大金をもたらすことを保証されている名のある開発会社」以外の開発者に対して、どれほどひどい扱いをしているかという噂を耳にしてきました。ソニーによって橋を燃やされたため、かつてプレイステーション独占の代名詞であった日本の中小ゲームのほとんどが、他のプラットフォームでも発売されたり、プレイステーションから撤退してしまいました。スクウェア・エニックスのようにソニーのAAA戦略に合った大規模なゲームはまだ優遇されていますが、中小デベロッパーとはほとんど縁を切ったようです。

PS5では前述のような大規模作品以外、日本ではサポートはほとんど受けられません。そのため中小規模の作品はPS5向けにはリリースせず、リスクヘッジのため以前はプレイステーション独占だったのにも関わらず他のプラットフォームへ移行しています。
これまでプレイステーションのプラットフォームで活躍してきた日本の開発者に対してもソニーの対応は悪く、積極的に働きかける価値がないと判断され、現在に至ります。ソニーのファーストパーティのスタジオでも同じことが起きていて、ソニーで最も歴史のあるジャパンスタジオは無念にも閉鎖されました。

インディーゲームもまた、メインストリームのAAA作品と肩を並べることはありません。『フォートナイト』はたった一日でインディーゲームが生涯で稼ぐ金額より多くを稼ぎます。ソニーはこういったゲームを重視するあまり、結果的にインディーゲームの開発者を排除することを選択しました。

ソニーの対応の悪さについて数日前にTwitterで始まったインディー開発者たちの告発は、雪だるま式に増えていきました。苦情の内容は多岐にわたっています。あるインディーゲーム開発者は自分たちのゲームのセール販売設定ができない(ソニーが招待してくれるのを待つ必要がある)ことに不満を持っています。また、Steam、Switch、Xboxではユーザーがインディーゲームを見つけるためのツールを無料で提供しているのに、PSストアではインディー開発者自身でも自分のゲームを見つけることができないことがあります。プロモーションを行うための機会も提供されていません(※訳注:お金を払えば金額に応じたプロモーションを受けられるようです)。ソニーのアカウントマネージャーは、メールなどの問い合わせの対応に数ヶ月かかることがあるそうです。あるツイートではSteam、Switch、それとXboxでの売り上げが大半を占めていて、PS版の売り上げは3%以下、場合によっては0.3%にも満たないと報告しています。

当然ながらインディー開発者が理想とするような完全なサポートのプラットフォームは存在しません。結局の所すべてのプラットフォームは人の手によって運営されており、人はミスをする可能性があるからです。しかし彼らはXboxのGame Passが招待制であったり、Switchでの大型パッチの配信に追加の手順が必要だったりと不満はあるものの、全体的には開発者にとってフレンドリーで上手く機能しており、自分たちのゲームがハイライトされることを気にかけてくれていると考えています。一方プレイステーションでは?

ある開発者はKotakuの取材に対し「そうそう、サポートしてくれるのは任天堂なんだよね」と語っています。「任天堂はあなたを応援してくれていて、マイクロソフトはあなたを応援してくれていて、そして自分たちのAAA戦略を応援し、他の人たちのことは気にしないソニーがいる」と述べました。

ご存知のようにプレイステーションはかつてないほどの成功を収めていて、その成功は威信あるハイエンドAAA市場に焦点を当てているからです。なのでソニーがその市場に注力したいと考えるのは当然のことで、利益を重視することは構いません。問題は、それがビジネスの観点で正しいとは言えないことです。一般的にはビジネスパートナーを粗末に扱うことは悪い印象を与えます。もっと具体的に言えば、ゲームに関しては大ヒット作やファーストパーティ作品だけに投資して、その他の多種多様な作品に手を出さないのは良くない考えです。
これはかつて任天堂がニンテンドー64で陥ったことで、サードパーティの支持を失った原因となりました。任天堂が推し進めたい大ヒット作を提供する一部のパートナーを除いて、サードパーティをいじめたことが業界での地位を失った決定的な原因であり、21年後のSwitchの登場まで失った支持を回復することができませんでした。

他の例で言うと、Xbox 360で中堅ゲームや日本のゲーム、インディーゲームなど大きく売れない作品には力を入れず、大ヒット作とファーストパーティのタイトルだけに集中して投資するブロックバスター戦略をとったマイクロソフトは、10年近く経った今でもその戦略が裏目に出てしまった影響を受けていて、そこから立ち直ろうとしています。

ソニーが迅速にこの問題に取り組まなければ、同じような悲惨な状況に陥らざるをえません。ソニーは歴史的に大ヒット作だけに集中して他のものを排除するのは良くないと知っているはずです。ソニーがゲーム業界で成功した理由の一つとして、初代プレイステーションでは正反対のことを行ったからです。任天堂とセガがサードパーティをないがしろにしていたのに対し、ソニーはすべてのデベロッパーを歓迎して、「自分たちの作品がプレイステーションの成功に貢献している」と感じられるようにしました。ソニーが上手くいっているときはすべて他の開発者と手を取り合っていた時で、PS3で開発者を敵視するようになった時は大打撃を受け、そのダメージから回復するために何十億ドルと何年もの時間を費やすことになりました。

そのような歴史を持つソニーが、なぜ同じ過ちを繰り返しているのか理解に苦しみます。約30年に渡るプレイステーションの歴史は、多様なラインナップを揃えどんな小さなニッチにも対応することの重要性を物語っています。プレイステーションのプラットフォームが成功したのは、文字通りあらゆる種類のゲームが揃っているからでした。

しかし、今ソニーはこういった開発者やゲームを積極的に遠ざけようとしています。個々のゲームや開発者、そのファンがソニーの状況を左右することはありませんが、これらが積み重なると、ソニーはかなりの数の関係者との間に溝をつくっていることになります。プレイステーションからインディーゲームが完全に撤退するのにそれほどの猶予はないかもしれません。ここ数年ヒットしたインディーゲームのほとんどはプレイステーションで生まれたものではありません。『Hollow Knight』は? Switchです。『Hades』は? Switchです。『Celeste』、『Wargroove』、『Dead Cells』のようにマルチプラットフォームで同時発売されたゲームでさえ、プレイステーションではなくSwitchで最高の売り上げを出しています。PS版はソニーの方針で問題が発生することが多く、例えば『Wargroove』では他では人気を博していた機能であるクロスプラットフォームでのマップ共有ができませんでした。

そしてこれらのゲームが今後プレイステーションをスキップして発売されるケースが増えてきています。『Hollow Knight Silksong』は名作の続編として期待されているタイトルですが、プレイステーションでは発売されません。プレイステーションで発売されない理由は語られていません。しかし、売り上げの低さやインディー開発者に反感を持たれていることから、彼らはまず利益が出てより友好的なプラットフォームに注力するでしょう。ソニーとそのファンはプレイステーションの普及数を理由に、あらゆるゲームがプレイステーションに集まるはずだと信じてきました。しかしいくら普及してもゲームを買ってもらえなければ意味がありません。プレイステーションのユーザーはインディーゲームを買うことに熱心ではないようなので、インディー開発者にとってはリリースしても成果がありません。

時間が経つほど、このようなことはソニーにとって痛手となるでしょう。現在PS5はPS史上最速の販売台数を記録していると発表されていて、今後も続くと思います。ソニーはインディー開発者の優れたゲームに関心がないかもしれませんが、プレイステーションを買えばどんなゲームの好みでもカバーできると思っている多くのファンはそうではありません。今後ソニーはますます狭い範囲のゲームスタイルに集中し、他のものを排除していくように見えます。このことはPSユーザーや開発者を失望させ、軌道修正しないかぎりいずれソニー自身を悩ませることになるでしょう。


すごく長い記事ですが、言っていることは「利益を追い求め多様性を犠牲にすると、ユーザーと開発者が離れていくよ」ということのようです。任天堂とXboxの過去の失敗を例に出していますが、ソニーも似たような失敗はしているはずなんですけどね。トップが変わったら忘れてしまうのかもしれません。

これを読んで思い出したのが、「採算性を考えるとこれからはシングルプレイのゲームを作るのをやめてマルチプレイゲームに注力していく」と語ったどこかの開発会社の話です。どんなにマルチプレイのFPSが好きだとしても、そのゲームだけやり続けるのは苦痛です。マルチプレイのゲームだけになったらゲームから離れるだろうな、と思い記憶に残っています。

ちなみにこの記事はGamingBoltに掲載されたものですが、「この記事で述べられている見解は筆者のものであり、必ずしもGamingBoltという組織の見解を示すものではなく、また帰属すべきものでもありません」という注釈が入れられています…。

参考記事

ゲーム関連ニュースカテゴリの最新記事